次の日の早朝。


ジャージに着替えた友理が、
走ろうと、校門を出ると、梨沙がいた。


  「おっはー」


  「えっ、何?」


  「サキから聞いたよ。
   で、タイム、計ろうと思って。

   その方が、張り合い、出るじゃん?」


  「あっ、うん、ありがとさん。
   せやけど、無理せんで、ええんよ」


  「大丈夫。
   歩くのは、リハビリも兼ねてるんだ。

   じゃあ、行くよ」


  「うん」


友理が走ろうとすると、車が止まった。

中から、ジャージ姿の、
佐紀、華子、歩美、里香が下りてきた。


  「えっ、みんなぁ……」


  「一緒に、走ろっ?」


  「ええって、言うたのにぃ」


  「もう、サキは、強引なんですから」


  「いいでしょっ、多い方が、楽しいし」


  「うん、まっ、ええけど」


  「じゃあ、行きましょうか」


走り出そうとすると、後ろから、声がした。


  「ちょっと、置いてかないでよ」


雅美と桃子が走って来た。


  「抜け駆けは、許さないよ。

   てか、絶対、サキは、
   一緒に走ると思ったんだ」


  「みんなぁ」


友理は、涙を拭うしぐさを見せた。


  「あれっ、泣くトコじゃないでしょ」


  「ちゃうよ。これ、汗。汗やん」


  「まだ、走ってもないのに?」


  「ハハハ、じゃあ、行こっ」


梨沙が、ストップウォッチを手に、


  「ヨーイ、スタート!」


2年生全員、ランニング・コースへ
走り出した。


  「みんな、頑張れ―」


後ろから手を振る、梨沙。



次の日、話を聞いた1年生も加わり、
結局、バスケ部全員が、
早朝ランニングを、することとなった。