練習が終わっての帰り道、今日の話題は、
友理の早朝ランニングの事だった。


  「最初は、信じられなかったんだ。
   あのユリが、自分から走るなんてね」


  「そんなこと、ないわ。
   ウチかて、やる時は、やるんやから」


  「まっ、ようやく、自覚が出来た、
   ということでしょうね」


  「“ようやく”って、
   どういうことやのん?」


佐紀が、嬉しそうに、


  「じゃあ、明日から私も、走ろうかな」


  「それ、あかんわ。
   宿題かて、ようけあんのに。

   サキの成績が下がったら、
   ウチのせいに、なるやん」


  「大丈夫だよ」


  「それに、今までの遅れを、
   取り戻すために、走ってんやから、
   ウチ一人だけで、ええわ」


  「そう? うーん、わかった」


佐紀は、少し、残念そうだった。