梨沙が、松葉づえをつきながら、
友理の元に来た。


  「ユリ、何で、部活、来ないの?」


  「こんなことになってしもて」


  「そんなの、いいって言ったじゃん」


  「せやけど……」


  「ユリのせいじゃないんだから」


  「もう、ウチ、部活、辞めよかと……」


それを聞いた梨沙の、語気が強くなる。


  「何? 逃げるの?
   そんなの、許さないよ。

   だったら、私の足、返してよ。
   元通り、走れるようにしてよ」


  「そんなん、言うたって……」


友理は、椅子に崩れ落ち、顔を覆って、
泣き始めた。


  「リサの大好きな……バスケを……、
   ウチが……、出けへん……
   ようにしてもうて……。

   ゴメン……、ホンマに……、ゴメン」


梨沙は、震える友理の肩に、そっと手を置き
優しい口調で、


  「だったら、走ってよ。
   私の代わりに、走ってよ」


友理が、頭を上げる。


  「私、ユリと一緒に走る。
   ユリがプレイしてるのを見て、
   一緒に、プレイする。

   だから、辞めるなんて、言わないで」


梨沙の声も、震えて来た。

佐紀も、震える声で、


  「そうだよ、私たち、仲間じゃない」


  「うん」


3人は、肩を抱き合い、泣き出した。


  「ゴメン……」


  「応援するから」


  「うん」


  「一緒に、やろっ」


  「うん」


  「逃げたら、辛いだけじゃん」


  「うん」


  「バスケ、大好きでしょ」


  「うん」



廊下では、心配して来た雅美や華子達が、
微笑みながら、泣いている3人を見ていた。