体育館で練習していると、入り口に、
松葉づえをついた、梨沙が現れた。


  「リサっ!」


それに気付いた佐紀が、梨沙の元に、
走って行く。

他の皆も、集まって来た。


  「退院したんだ」


  「うん、さっきね。
   いつまでも、学校、休むわけにも
   行かないし。

   まっ、私は、いいんだけど、
   ママが、行け、行けってうるさくて」


  「もうー、リサぁ」


梨沙は、皆を見渡し、


  「ユリは?」


  「うん、まだ、来てないんだ」


  「そう」


梨沙の声は、寂しげだった。


歩美「まだ、
   立ち直れてないみたいじゃん」


雅美「みんな、声をかけてるんだけどね」


華子「このことで、結構、
   責任を感じているみたいですわよ」


梨沙「そんなの、関係ないじゃん。
   ユリのせいじゃないしぃ」


佐紀「私も、何度も言ってるんだけど、
   ユリ、頑固だから」


梨沙「まっ、サキには、負けるでしょ」


佐紀「えー、私、頑固じゃないよ」


歩美「それは本人が、知らないだけじゃん」


佐紀「そんなこと、ないよぉ」


  「ハハハハハ」


皆が、笑った。

それは、皆、佐紀の頑固さを認めている
ということなのだろう。


  「私、リハビリもあるし、
   しばらく、部活、来れないから」


  「うん、わかった。
   リハビリ、頑張ってね」


  「じゃあ、みんなも、頑張ってねー」


梨沙は、笑顔で手を振り、入り口に向かった

しかし、皆に背を向けると、
口を真一文字に結び、険しい顔になった。