佐紀は、目を下に落とし、ポツリと言った。 「まだ、来てない」 「そう」 しばらく、沈黙が続いた。 梨沙が、強い口調で、沈黙を破った。 「別に、ユリのせいじゃ、ないのに。 サキ、ちゃんと、言ってる?」 「言ってるよ。 でも、聞いてくれないんだから。 それに、これは、ユリが自分で、 乗り越えなきゃならない事だと、 思うんだ」 「うーん、そうかもね」 そして2人は、また、黙ってしまった。