佐紀は、皆の前に立ち、
佐紀「みんな、ゴメン」
と、大きく頭を下げた。
華子「まっ、“勝敗は、時の運”と、
言いますわよ」
雅美「サキのせいじゃないよ。
私も一杯、シュート、落としたし」
2年生は、佐紀の周りに、集まって来た。
里香「次、会った時、勝てばいいんだよ」
歩美「今度会ったら、負けないぞぉ。
ケッチョン、ケチョンにしてやる」
歩美は、おどけて見せたが、佐紀は頭を、
上げなかった。
佐紀の悔しさは、皆も、わかっていた。
華子は、佐紀の肩に、手を置き、
華子「さあサキ、また練習、頑張りましょ」
佐紀「うん」
ようやく佐紀は、頭を上げた。
里香「でも、コーチ、いなくなったら、
どうなるんだろう」
佐紀「明日、謝ってくる」
歩美「いいじゃん、あんなコーチ、
いなくたって。
サキばっか、いじめてるじゃん」
雅美「そうだよ。
あれ、サキが、キャプテンになって、
自分の見る目が無かったことを、
隠そうとしてるんじゃないの?」
佐紀「もう一度、見てもらえるように、
頼んでみるよ」
佐紀の声は小さく、
ようやく聞き取れるほどだった。
華子「そうですわね。もしダメだったら、
その時、考えましょ?」
雅美「うん、そうだね」