新人戦は、ボロボロだった。
千奈が転校し、梨沙も、ケガでいない。
友理は、あれから、部活に来ていない。
このような中で、キャプテンが、
しっかりしなければいけないのだが、
佐紀も、何か、おかしかった。
タイミングが、微妙に、ズレているのである
1回戦、2回戦は、華子や里香の奮闘で、
何とか、勝ち上がる事が出来た。
そして、県大会出場を賭けた、3回戦。
華子は、1戦、2戦の疲れからか、
最初から、動きが少し、重かった。
佐紀はというと、ミスを連発していた。
「あっ、バカヤロー」
「どこへ、パスしてるんだ」
幾度となく、コーチの叱責が飛んだ。
第4クォーターには、とうとう、
1年生と、替えられてしまった。
佐紀はベンチで、タオルで顔を覆って、
座っていた。
肩が揺れている。
ふがいない自分が悔しくて、たまらなかった
応援しなければと思うのだが、
まともに見る事が出来ない。
結局、試合終了の笛が鳴るまで、
そのままの格好でいた。
甲陽高校は、3回戦で負け、
県大会へ行くことは、出来なかった。