友理は、目に一杯、涙を溜め、
梨沙の横に立つと、消え入りそうな声で、


  「ゴメン」


  「何で?」


  「こんな事に、なってもうて」


  「ユリのせい、違うよ。
   これは、事故じゃん、事故」


梨沙のお母さんも、


  「友理ちゃんが、責任感じる事、
   ないのよ」


  「でも…………」


顧問の、荒木先生も、


  「これは、事故なのよ」


そして、お母さんに、


  「部活上の事故として、
   保険申請しますので、その時は、
   よろしくお願いします」


しかし友理は、今にも、崩れ落ちそうだった

岩田先生が、


  「さあ、あまりいても、何だから、
   帰ることにするか。

   ほらっ、みんな、帰るぞ。
   じゃあお母さん、また」


岩田先生は、お母さんに会釈して、
出て行った。


他の皆も、


  「じゃあ、リサ、またね」


と、手を振って、出て行った。

友理は、梨沙の横に、立ち尽くしていた

佐紀は、友理の背中に手をやり、


  「さっ、帰ろ?」


友理は、去り難くしていたが、
佐紀は強引に、背中を押して行った。


  「ユリィ―、またねぇー。
   気にしちゃ、ダメだよ。

   大丈夫なんだから」


梨沙の明るい声が、返って来た。

佐紀は、友理を、病室から、引っ張り出した

病室から出る時に、
布団をかぶって泣いているのか、
くぐもった嗚咽が、
友理の耳に、入ってきた。



次の日から、友理は部活に、来なくなった。




そして、新人戦が、始まった。