新人戦も、1週間後に、迫って来た。

練習前に円陣を組み、佐紀が声をかける。


  「新人戦も近いから、
   気合入れて行くよー」


  「オー」


  「イチ、ニッ、サン」


  「ファイ」


練習が始まった。



練習も、終りに近づき、3対3になった。

友理が、競り合って、ハイポストで、
ボールを受ける。

しかし、バランスを崩して、あわてて、
梨沙にトス。

梨沙も、タイミングが違い、バランスを崩し
足が流れた。


  「おっと」


何とか踏ん張り、キャッチに神経を注ぐ。

するとそこに、バランスを崩した友理の体が
倒れ込んで来た。


  「グアー」


なまじ、変な体制で踏ん張っていただけに、
梨沙の膝が、ありえない方向に曲がった。

梨沙は、“メリメリッ”と言う音が、
聞こえたような気がした。

激痛が、体を走る。

梨沙は、倒れて、
膝を抱えたまま、動かずにいた。

あわてて、佐紀が、駆け寄る。


  「リサ、リサっ」


皆が、集まってくる。

友理は、梨沙の横で、茫然として座っていた

梨沙の膝が、みるみる腫れて行く。

佐紀が、大きな声で、


  「コールド・スプレー」


1年生が、救急箱を持って、走って来た。

華子が来て、


  「これは、靭帯が切れている可能性が
   ありますわ。

   早く、医者に見せないと」


  「じゃあ、救急車」


  「ちょっと待って。
   車が外に、待機してますから、
   それで行きましょう。

   その方が、早いですわ」


華子は、携帯を取りに、走って行った。