次の日。

佐紀達は、ディズニーランドへ行くため、
駅に向かって歩いていると、
どこからか声がした


  「おーい、久しぶりぃー」


華子は、声の主を探して、周りを見回した。

佐紀は、前に、同じことがあったので、
上を見た。


  「あっ、コーチ!」


皆が、上を見る。

三田が、電柱の上から、手を振っていた。


  「ちょっと、待ってろよ」


三田がスルスルと、電柱から下りてきて、
ヘルメットを脱ぐと、


  「よっ、久しぶり。
   華子君も、久しぶりだな」


  「ご無沙汰してます」


  「みんな、仲がいいよな。

   よく、ツルんで、歩いているのを
   見てるぞ」


  「声をかけてくれれば、よろしいのに」


  「いや、車からなんで、いつも、
   すれ違うだけなんだ」


  「コーチ、港南のコーチ、
   辞めたんですか?」


  「ああ、バスケットを知っている先生が
   来たんでな。

   俺の役目は、終わったよ」


  「今は?」


  「今は、何にも、してないよ。

   ちょっと暇なんで、コーチの資格を
   取ったりしてたんだがな」


  「へぇ~」


  「お前たちも、もう2年生かぁ。
   最後の1年だよな。

   どうだ、頑張ってるか?」


  「はいっ、インターハイ目指して、
   一生懸命、やってます」


  「おぉ、それは、頼もしいな。

   ところで、千奈が見えないようだが」


皆が、目を下に落とした。


  「チナは、転校しました」


  「そうか……。残念だな」


佐紀が、顔を上げ、


  「でも、向うで、頑張ってますよ」