すると、佐紀が、

  「そんなこと、ありません。
   私たちは、十分楽しみました。

   出来る事は、全部、やりました。
   もう、カラッポです

   これ以上、何を出せと言うんですか。

   ねっ」


そう言って、佐紀は、皆を見た。

全員、笑顔でうなずいた。


  「ありがとう。

   そうだな、大事なのは、
   この、すべてを出し切るという事だな

   ベストで戦って、負けたんだから、
   納得も、行くよな」


三田は、皆を見回した。


  「ここに来るまでに、
   いろんなものを犠牲にし、
   いろんなものを、手に入れたと思う。

   その、手にした最大のものは、何だ?
   佐紀!」


  「仲間です」


  「華子」


  「仲間です」


  「梨沙は?」


  「かけがえのない、仲間です」


全員が、“仲間”と答えた。

三田は、笑顔で、皆を見た。


  「そうだな。
   必死でやってこその、仲間だな。

   苦しい練習を、皆で共有して、
   励まし合いながらの、この絆は、
   一生、切れる事が無い。

   バスケットは、この仲間を得る
   手段に過ぎないんだ。

   これこそが、本当の、財産だ。
   大事にしろよ」


佐紀達は、皆、うなずいた。