佐紀達が、アリーナから出てくると、
千奈が、待っていた。


  「いやぁ~、みんな、よく頑張った!
   お疲れ、お疲れ。

   メッチャいい試合だったよ」


  「ゴメン。
   せっかく、応援してくれたのに」


  「何、言ってんの。
   ここに来たことだけでも、凄いのに、
   一つ、勝ってるんだよ。
   もっと、凄いことじゃん」


そう言って千奈は、
佐紀の背中を、ポンポンと叩いた。


雅美達も、口々に、


  「千奈も、応援、ご苦労さん」

  「いいねぇ、千奈の声。
   一杯、元気、もらったよ」

  「やっぱ、千奈の声がなくちゃね」


と言うと、千奈は、

  「やっぱ、甲陽のバスケは、いいねえ。

   みんなと一緒にバスケットした事は、
   私の誇りなんだ。

   いろんなことが、あったけど、
   私、一生、忘れないよ」


すると、友理も、

  「ウチも、一緒や。
   このチーム、最高やもん」


佐紀たちと千奈は、
離れていた時間を埋めるかのように、
いろんな事を、話した。

佐紀達は、試合に負けたことなど、
もう、どうでもよくなっていた。

それより、千奈が、この輪の中に
いる事の方が、大事だった。

話は、いつまで経っても、
尽きる事が無いかのようだった。



亜紀が、皆を、呼びに来た。


  「キャプテン、コーチが、集まれって」


  「うん、わかった。
   じゃあ、千奈、あとでねっ」


佐紀達は、千奈に手を振り、
三田の元に、向かった。