友理が、ベンチの荷物を片付けていると、
梨沙が来た。


  「ユリ、お疲れさん」


  「ゴメン……。
   ウチが、コケさえ、せなんだら……」


  「何、言ってんの。
   ユリ、大活躍だったじゃん」


  「そうだよ、ユリのお蔭で、
   あそこまで、競ったんだから」


  「でも、あれが無かったら……」


  「ユリがいなかったら、
   とっくに、離されて、
   大差で負けてましたわね」


  「まあ、ユリらしいと言やあ、
   ユリらしいじゃん」


  「ツメが、甘いんだよね」


  「ゴメン……」


  「もう、冗談なんだから、
   真に受けちゃ、だめだよ。

   みんな、ユリに、
   感謝してると思うよ」


  「そうだよ、ユリのお蔭で、
   いいゲームが、出来たんだから」


  「さあ、もう、終わった事なんですから
   いいじゃありませんこと」


  「うん」


皆は、代わる代わる、友理を励ましながら、
ベンチを後にした。