華子は、試合が終わった後に泣くのは、 初めての経験だった。 自分は、そんな人間だとは、一度も、 思ったことはなかった。 しかし、頬を流れるのは、まぎれもなく、 涙だった。 華子は、自分でも、驚いていた。 悔しくて、泣いているのではない。 なぜか自然と、涙が出てくるのだった。 だから、こらえる事も、出来なかった。 佐紀が、華子の背中に手を添えて、 「行こっ」 華子は、うなずいて、 最後の挨拶に、向かった。