タイムアウトが明けると、
桃華は、プレスを仕掛けて来た。
しかし、甲陽のプレスを警戒してか、
4番と、センターを残していた。
友理は、走った。
梨沙への罪滅ぼしのため、必死に走った。
少しでも長く、梨沙に、
バスケットを見てもらうため、
倒れても構わないとさえ、思っていた。
桃華は、センターの到着を待たずに、
攻めて来た。
少しでも、速い展開に持ち込み、
そのペースに、甲陽を引き込みたかったのだ
しかし甲陽は、
ロースコア・ゲームに、徹した。
残分が、1分30秒を切った。
ディフェンスの時、梨沙が立ち上がる。
「サキっ、行くよ」
全員、うなずく。
甲陽の必死のディフェンスに、
ボールが中に入らず、
桃華4番の、3ポイント。
成功。
残分、1分10秒、甲陽2点のビハインド。
佐紀と友理が、ボールを運び、
24秒かけて、じっくり攻める。
佐紀の、3ポイント・シュート。
成功。
佐紀が声をかける。
「プレス!」
桃華も、センターを使って、
ボールを運んで行く。
桃華のカット・インに、
友理がチェックに跳ぶ。
審判の、笛が鳴った。
「ファウル、フリー・スロー」
友理のジャンプ力は、落ちていた。
残秒35、甲陽、1点のリード。

