再び、娯楽室では、皆が、ビデオを見ながら
食事中に考えていた意見を出し合い、
対策を練っていた。


三田は、話しには、加わらなかった。

ただ、黙って、聞いているだけだった。

もし、違う方向に流れて行ったら、
その時、修正してやればいい。

もし、質問があるなら、訊きに来るだろう。

そう思っていたが、そんなことは無用だった

皆、時には、友理をイジりつつ、
桃子のギャグには、無視を決めつつ、
和気あいあいと、意見を出していた。



佐紀が、友理に訊いた。


  「ユリ、リバウンド、勝てる?」


  「う~ん、微妙。ジャンプ力は、
   あんま無いと思うねんけど
   ウチは、跳ばなアカンから。

   タイミング間違えたら、アウトやな」


  「じゃあ、弾くことにしよう。

   その方が、高い所で、触れるし。
   ユリ、ちょっと早めに跳んで、
   弾いて。

   弾くのだったら、ボールの下側で、
   行けるでしょう?

   みんなは、そのルーズ・ボールを、
   狙うことにしようか」


  「うん、わかった」


  「じゃあ、パスも、弾くことにしよ?」


  「そうだね。持たさなきゃ、
   いいんだから」


  「じゃあ、パスが入ったら、
   ルーズ・ボールに構えるっと」


  「わかった」


三田は、それを注意しておこうと
思っていたが、それも、無用だった。



そして全員、11時には、眠りについていた