試合は、地区大会の、決勝だった。

テレビに映し出された、桃華学院を見て、
皆の浮かれ気分が、吹っ飛んだ。

友理が、素っ頓狂な声を上げた。


  「えー、これ、反則ちゃうの」


まだ、試合前の、
ウォーミングアップの映像だったが、
そこには、他のメンバーから、
頭一つ抜け出たセンターが、映っていた。


  「これ、180、軽く超えてるよね」


  「190に近いんじゃないの?」


  「いやっ、超えてるかも」


  「これ、絶対、反則やわ」


  「ユリだって、
   似たようなもんじゃない」


  「ウチは、ギリギリ、セーフやねん」



テレビの中では、試合が始まった。

皆、食い入るように観ていた。

誰も、言葉を発しなかった。

息を止めてるんじゃないかとさえ、思われた

試合は、桃華学院の、圧勝だった。


試合が終わると、佐紀たち全員が、
息を吐いた。