点差が詰まっても、甲陽は、 誰も、あわてなかった。 というより、佐紀以外は誰も、 得点も、時間も、見ていなかった。 もし何かあれば、佐紀が指示するだろう、 としか、思っていなかったのだ。 全員が、佐紀を、信頼しきっていた。 皆、目の前のプレーに、全力を注いでいた。 ベンチもまた、全員、皆と一緒にプレーし、 応援していた。 そして、スコアを付けている梨沙だけが、 一人、ハラハラしていた。