新垣も、シュートが入ると、
プレスを仕掛けて来た。
しかし、友理がバック・コートに
残っているため佐紀は、友理にボールを入れ
そのリターンパスをもらう事で、
楽々、ボールを運んで行った。
友理は、動かなくてすむ事、
走らなくてすむ事に、
天才的な能力を、発揮した。
結果的に、楽が出来るプレイには、
貪欲だった。
特に、押し合いに持ち込んで、
反対側で、ボールをもらうプレイは、
走らなくていいので、得意技になっていた。
新垣のプレスは、友理がいる事によって、
有効な策とはなっていなかった。
審判の笛が鳴る。
「甲陽ボール」
甲陽ベンチ前から、
佐紀がスローインしようとしている時、
横から三田が、声をかけた。
「サキっ、プレスは、もういい。
ノーマルに、戻せ」
うなずく佐紀。
三田は、これ以上、
無駄に体力を使う必要は、無いと思った。
それに、相手と同じリズムで守るのも、
得策ではないと、考えたのだった。

