部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル


佐紀達は、ベンチに帰って来ても、
誰も、座ろうとしなかった。


  「よし、ディフェンスは、あれでいい。

   オフェンスは、ユリにフォワードが
   付いたから、ユリは、中で勝負しろ」


  「はい」


三田は、皆を見回して、


  「センターが、カバーに来たら?」

  「リカが、空く」

  「サキ、お前は、どうする?」

  「リターンをもらって、
   スリーの打てる位置に、移動する」

  「他の奴に、パスが出たら?」

  「セイフティに、備える」


三田は、微笑んで、


  「よし、だいたい、わかってるな。
   そうだ、全て、誰かのために動け。

   お前たちが、今まで育んできた、
   チーム・ワークが、試されてるんだ。

   ワン・フォー・オールだぞっ」


  「はいっ」


三田の語気が、強くなった。


  「フォーメーションなんてものはな、
   チーム・ワークの無いやつらのために
   作られたものだ。

   お前たちのチーム・ワークを、
   あいつらに、見せつけてやれ。

   マニュアル通りのバスケットなんか、
   打ち砕くんだ」


  「はいっ」



オフィシャルのブザーが鳴る。


  「よしっ、行くぞ、気を抜くなよ」


甲陽は、円陣を組む。


  「このクォーターに、
   全てを賭けるからね。
   行くよ。イチ、ニッ、サン」


  「ファイ」



佐紀達が、コートに出て行く。
皆の決意は、その足取りに、現れていた。