体育館、アリーナ。


試合前の、アップが始まった。

三田は、ベンチから、それを見ていた。

梨沙が、横に来て、


  「コーチ、スタート、誰にしますか?」


  「そうだな。スタートは、
   ソノ、アユ、リカ、ミヤ、モモ。
   この5人で行こう」


  「これが、ベストですかね」


  「そうだな。とりあえずこれで、
   様子を見よう。

   後は、相手の出方次第だな」


  「じゃあ、これで、オフィシャルに
   出して来ます」



三田は、佐紀たちのアップを見ながら、
感慨に耽っていた。

佐紀達を、中学校で見て来たが、まさか、
ここまで来るとは、思っていなかった。

やはり“バスケットが好き”ってのは、
最高のモチベーションだなと思った。

しかしこれも、頭に“クソ”がつくほど
真面目な、佐紀に依るところが大きい。

華子も、佐紀がいなかったら、
ここまでになっていたかは、疑問である。

つくづく佐紀は大した奴だと、三田は思った



梨沙が横に来て、ポツリ、つぶやいた。


  「来たんですね」


  「ああ、そうだ。夢にまで見た舞台だ。

   お前も、
   このコートに立ちたかっただろうな」


  「いえ、立ってますよ。
   私も、みんなと一緒に
   プレイ、してますから」


  「そうか」


2人は、感慨深げに、皆のアップを見ていた