佐紀たちは、顧問の荒井先生の引率のもと、
新幹線で、京都に向かった。

乗り込む前に、先生から、


  「あまり、騒がないようにね。
   他の人の迷惑になりますから」


と、注意を受けた。



新幹線に乗り、座席に座ると、佐紀は、
1冊のファイルを取り出した。

先生が、


  「佐紀さん、何なの? それ」


  「今までやってきた、
   講義のプリントです。

   京都に着くまでの間、
   見直しておこうと、思って」


すると、それを見つけた華子が、


  「サキ、ずるいですわ。
   じゃあ、私も」


そう言って、華子も、ファイルを取り出した

すると、他の皆も、次々と、
ファイルを、取り出し、読み始めた。

何も持っていないのは、梨沙だけである。

梨沙は、プレーヤーのイヤフォンを耳に、
何かを聞いていた。


  「梨沙さん、何、聴いてるの?」


  「聞きますか?」


先生が、イヤフォンを耳にすると、
それは、英会話だった。


  「梨沙さん、これ」


  「私、進学しようと思って。だから、
   勉強しなくちゃならないんです」


皆、真剣に、プリントを読んでいる。


先生は、驚きの声を上げた。


  「あなたたち、一体、何なの。

   勉強も、そのくらい真剣に、
   やってちょうだいよ」


すると、桃子が、


  「先生、うるさい!
   他の人の迷惑になるでしょ」