坂井は、佐紀の方を向くと、


  「サキ!、やったなっ」


  「ありがとうございます」


  「ソノも、ユリも、ミヤも……」


坂井は、一人一人の名前を、挙げて行った。


  「ワシは、嬉しい。

   お前たちと、出会うことが出来て、
   ホントによかったと、思ってるぞ」


坂井の喜び様は、相当なもので、
放っておけば、
佐紀に抱きつかんばかりのモノだった。

さすがに、抱きつきはしなかったが、
一人一人の手を取り、大きく振った。

佐紀たちは、ようやく自分達が、
どんなに大きなことを成し遂げたのか、
理解した。


坂井の喜びが、一段落すると、
佐紀たちは、1列に並んだ。


  「今日は応援、
   ありがとうございました」


  「ありがとうございました」


と、皆に、お礼を言った。



すると、須藤が出て来て、


  「今日は、来てよかったよ。

   ヤァの、言う通りだったね。
   こんな瞬間に、立ち会えるなんて、
   ホントに、ホントに……」


須藤は、ハンカチで、目頭を押さえ、
後は、言葉にならなかった。


須藤は、涙を拭くと、


  「それと……」