佐紀たちが、高揚した気持ちで、
重い足を引きずり、アリーナから出てくると
OGたちが、外で待っていた。

OGたちは、拍手で佐紀たちを、迎えた。

そして、佐紀たちの周りを、取り囲んだ。


坂井は、真っ直ぐ、三田の所へ行き、
三田の手を取ると、


  「いやあ、ありがとう。
   ホントに、ありがとう」


そう言って、握った手を、大きく振った。

坂井の目は、潤んでいた。


  「ワシの、夢だったんだ。
   インターハイへ行くのが、
   ワシの、夢だったんだ。

   ありがとう。
   ホントに、ありがとう」


それを見て、OGの中には、
涙を拭っている者もいた。

それは、坂井だけではなく、
OGたち全員の、夢だったのだから。

三田は、


  「いや、坂井さんの礎が、
   あったからこそですよ。

   俺は、それをちょっと、
   後押ししただけですから」


  「何を、謙遜してるんだ。
   もっと胸を張れば、いいじゃないか。

   いやあ、こんな、嬉しいことは無い」