闘志を取り戻した甲陽は、
着実に、得点を重ねて行った。
双海が、最後に放った苦し紛れのプレスも、
今の甲陽には、何の苦にもならなかった。
オフィシャルのブザーが鳴り、
審判が、笛を吹く。
「タイム・アップ」
甲陽は、勝ちを収めた。
そして、ついに、
インターハイへの切符を、手にした。
ベンチから、観客席から、歓声が上がる。
「ありがとうございました」
最後の挨拶が終わると、佐紀と友理は、
ベンチにドスンと、腰を下ろした。
2人とも、疲れは、ピークに達していた。
友理は、前方をボンヤリ見たまま、
「サキ、お疲れさん」
佐紀も、前を向いたまま、
「ユリ、大活躍だったね」
2人は、しばらく、放心状態でいた。
佐紀の中から、笑いが、こみ上げてきた。
「フフフフフ」
それは、友理も同じだった。
「ハハハハハ」
2人とも、同時に、笑い出した。
その笑いは、しばらく続いた。
佐紀は、ベンチに座ったまま、
両こぶしを突き上げ、脚を前に伸ばし、
「やったぁー」
そして、そのまま友理と、ハイ・タッチ。
「イェーイ」
佐紀の周りに、皆が集まってくる。
互いにハイ・タッチをする佐紀達。
梨沙が、ガッツ・ポーズをする。
「ヨッシ」
全員で、
「ヨッシ」
その、歓喜のガッツ・ポーズは、
なんども、繰り返された。

