観客席でも、再び応援が、盛り上がった。

友理をよく知る、明美や弥生たちは、
驚きの目を持って、友理を見ていた。


明美が、

  「あの子、あんなに、走れたっけ」


と言うと、後ろから千夏が、

  「ほら、前にも、あったじゃん。
   サキに、何か、降りて来て。

   今のユリが、そうじゃないの?」


  「ああ、そう言やぁ、あったね」


坂井が、

  「みんな、サキが、大好きだからな。

   サキのために何かしたいというのが、
   エネルギーに、
   なってるんじゃないか」


須藤が、

  「あの子、ガードでも、
   行けるんじゃない?」


と言うと、坂井が、

  「あの身長でか? ハハハ、
   贅沢な、ガードだな」



再び、リズムを取り戻した甲陽に、
応援団にも、冗談を言う、
余裕が生まれていた。


そして声援は、増々、大きくなっていった。