佐紀は、OG達が、
大勢見に来てくれていることが、
“勝たなきゃ”という
プレッシャーになっていた。
そして、インターハイの切符が
ちらつき始めると、その勝ちを阻むミスが、
許せなくなって来たのだった。
明らかに、佐紀の顔は、変わっていた。
しかし、皆、佐紀を信頼してるがゆえに、
それが、わからないでいた。
三田は、悩んだ。
三田も、坂井と同じことを、考えていた。
“ここは、一発殴るのが、
一番、効果的だ。
しかし、殴れば、
テクニカル・ファウル。
ベンチから退場になるかも知れない”
しかし、今や甲陽は、チームとして、
機能しなくなっている。
“このままでは、終わった後、
あいつらには、後悔しか残らない。
たとえ負けたとしても、納得して、
終わらせてやりたい”
そして、三田は、覚悟を決めた。
“サキを替える事は出来ない。
もし今、替えたなら、サキは一生、
自分を責めるだろう”
例え、テクニカル・ファウルになろうとも、
佐紀の、目を覚まさせようとした。
三田は、佐紀を殴るため、一歩、前に出た。
「サキっ!」

