佐紀が、教室に入ると、華子がやって来た。


  「おはよう、キャプテン」


  「もぅー、華子まで」


  「あら、何のことかしら?」


  「華子も、賭け、してるんでしょ」


  「あら、知ってましたの?」


  「もう、人で遊ぶの、やめてよ」


  「ごめんなさい。梨沙と千奈が、
   あまりに楽しそうに言ってたので、
   つい…」


  「犯人は、リサかぁ」




放課後、佐紀が体育館に入って行くと、
雅美、里香、歩美が、走って来た。


  「よっ、キャプテン」


佐紀は、またかと、うんざりしたが、
一転、笑顔になって、


  「ありがとう」


そう言うと、雅美が、手を叩いて喜んだ。


  「やった、喜んだ、喜んだ」


後ろから華子が、


  「もう、バレてますのよ」


  「なぁんだ、バレてんのか。
   でも、喜んだよ」


  「最初は、違ったと、聞いてますわよ。

   まあ、バレた時点で、
   賭けは、不成立ですわね」


梨沙と千奈もやって来た。


  「リサぁ」


梨沙は、肩をすくめて、


  「てへっ、ゴメン」


雅美が、

  「あ~あ、勝ったと思ったんだけどなぁ
   てか、バラしたの、誰?」


  「ユリ」


皆が、友理を見た。

友理は、肩をすくめ、片手をあげて、
謝る仕草をした。


  「もぅ~、バカなことやってないで、
   練習、始めるよ」



佐紀の、キャプテン、第1日目は、
こうして、始まった。