三田は、デルタ・プラス・ツーの、
忍者ゾーンを、指示した。
最後に、亜紀に、
「アキ、3分でいい。
3分したら、替えてやる。
だから、絶対、ボールを持たせるな」
「はいっ」
ベンチに座った三田に、梨沙が、
「いよいよ、ゾーンの登場ですね」
「ああ、決勝までは、
秘密にしておきたかったんだが、
そうも言ってられないからな」
後半が、始まった。
三田の目論み通り、茅島は最初、
ゾーンだと、気付いていなかった。
茅島4番は、いつも友理が、
カバーの位置にいるので、カット・インを、
ためらっていた。
もう一つの得点源である6番も、
亜紀が、ピッタリ張り付いていて、
なかなか、ボールをもらえなかった。
亜紀は、3分でいいと言われているので、
後の事を気にすることなく、
全力で、張り付いていた。
茅島の得点力は、大幅に、後退した。
甲陽は、着実に、得点を重ねて行き、
2点差になった時、
茅島は、タイムアウトを取った。
オフィシャルのブザーが鳴り、
審判が、笛を吹く。
「チャージド・タイムアウト」

