明邦のコーチの板倉は、燃えていた。

この地区では、明邦が、抜きん出て強かった

それだけに、去年のこの大会で受けた屈辱を
板倉は、忘れた事が無かった。

あれ以来、“打倒甲陽”を合言葉に、
チームに、厳しい練習を、強いて来た。

お蔭で、新人戦では優勝し、この大会でも、
第1シードになる事が出来た。

しかし、新人戦で、
リベンジしようと思った甲陽が、
早々と負けてしまい、叶わなかった。

その、1年越しの、リベンジの機会が、
ようやく、やって来たのだった。



試合前、板倉は、全員を集めた。


  「ようやく、この時が、やって来た。
   今日こそ、甲陽を倒し、
   去年の、リベンジをするのだ。

   今までの苦しい練習は、この日のため
   絶対、甲陽に勝つぞ」


そして、全員で、声を出した。


  「甲陽を、倒すぞー」


  「おーー」



どちらかと言えば、個人的屈辱に近いので、
今の3年生にとっては、迷惑な話だが、
“打倒甲陽”を、モチベーションに、
頑張って来たので、選手も、燃えていた。