練習が終わって、佐紀たちが、
バッシュを脱いでいると、1年生が来た。

華子の前に立つと、


  「私たち、御園さんにあこがれて、
   甲陽高校に来ました」


  「そう。頑張ってね」


  「はい」


中の一人が、


  「私は、清水さんに憧れて、来ました」


佐紀は、嬉しそうに、


  「ありがとう。一緒に、頑張ろうね」


すると、友理が、


  「ウチは、ウチは?」


と言うと、全員が、首を傾げた。


  「熊井さんは、………
   知りませんでした」


  「えー、ウチ、マイナーなんやなぁ」


横から、歩美が、


  「ユリ、有名じゃん。
   走れないセンターで」


  「えー、それ、違うやん。
   ウチは、走れないんじゃなくて、
   走らないだけやん」


すると佐紀が、悪戯っぽい笑顔で、


  「じゃあ、走る時は、走るんだね」


  「うん、やる時は、やるでぇ」


それを聞いた桃子が、


  「みんな、聞いた?
   ユリ、これから、
   バンバン、走るんだって」


  「いや、そんなことは、言って………」


  「おぉー~」


皆から、拍手が起こった。


  「ユリっ、偉い!」


  「えっ、いや、それは、………」


しかし、拍手は、鳴りやまなかった。



それからも、充実した練習が続き、
そして、地区大会の日が、やって来た。