ジェット・コースターに乗った佐紀は、
満面の笑顔で、楽しんでいた。
横の祐太は、引きつった顔で、
必死に、手すりを握りしめていた。
2人が、ジェット・コースター乗り場から
出て来た。
「あぁ、面白かった。
最後に、また、乗ろうね」
「ホント、好きだな」
「あのスリル、たまんないよ」
「次は、俺、下で見てるよ」
「何?、怖いの?」
「いや、そういう訳じゃないけど。
ちょっと、苦手かな」
「もうー、大っきな体して、
弱虫なんだから」
「それとは、違うだろっ」
佐紀は、祐太の言い分は完全に無視して、
マップを取り出し、広げた。
「次は、どれにしようかなあ」
そう言って、マップを見ながら、歩いて行く。
「ねっ、次、何がいい?」
「うん、任せるよ」
角を曲がった時、
「そうだ、これにしよう。
えっと、……これは……、
こっちだ」
と、すぐに引き返し、今来た角を曲がると、
女の人にぶつかった。
「あっ、すみません」
佐紀の目の前に、胸がある。

