佐紀と祐太は、
ディズニーランドに、やって来た。

ディズニーランドに入るとまず、
佐紀は、マップを手に取った。

それを見た祐太が、


  「さあ、どこ、行こうか?」


しかし佐紀は、そのマップは見ずに、
向うに見える、


  「あの、ジェット・コースターがいい」


と、指差した。


  「いきなり、それかい!」


  「だって、好きなんだもん」


  「好きなもの、最初に食べるタイプ?」


  「うん、だねっ。祐太は?」


  「俺は、最後に残しとくタイプ」


  「で、途中で取られて、食べれない?」


  「うん。って、なんで知ってんだ?」


  「なんか、そんな気がした。
   祐太らしいや」


  「そうかなあ」


  「さっ、行こ、行こっ」


佐紀はごく自然に、祐太の手を取り、
引っ張って行った。


その瞬間、祐太は、ドキッとした。

“佐紀って、積極的なんだなあ”と、
自分の消極性を棚に上げて、そう思った。


  「ちょっと、ちょっと待って」


そう言って、祐太はキチンと、
佐紀の手を握りなおした。


  「よし、行こう」


  「うん」


2人、手をつないで、
ジェット・コースターに向かった。