体育館から出てくると、佐紀は、友理に、
「あんな顔、しちゃダメだよ」
「私も、見ましたわ。あからさまに、
嫌ぁな顔、してましたわね」
「せやかて、シュート練習や、
思てたもん」
「それは勝手に、
思い込んでただけでしょ」
「そら、そやけど」
「気を抜くと、余計、疲れるんだよね」
友理の声が、大きくなる。
「サキは、スタミナあるから、ええわ。
ウチは、イッパイ、イッパイで、
やってるんやで。
一緒にせんといて、欲しいわ」
「そんなこと、ないよ」
佐紀の声が、小さくなった。
友理は、自分がキレたことに気付いて、
ハッとした。
「ゴメン」
佐紀の悲しそうな顔を見て、心が痛んだ。
まるで、自分が、
暴力でも使ったかのように、感じて、
自己嫌悪に陥った。
その雰囲気を感じ取ったのか、華子が、
「さあ、明日も、頑張りましょ?」
と言うと、気持ちを切り替えたのか、
明るい声が、返って来た。
「そうだね。また、頑張ろっ?」
「うん、頑張るわ」

