佐紀が、

  「どこに、しようか」


と言うと、


  「うん、任せるよ」


  「じゃあ、近くだと、
   知ってる人に合うから、遠出しよっ」


  「うん、どこがいい?」


祐太は少し、優柔不断だった。

と言うより、佐紀が喜ぶ所なら、
どこでもいいと思っていた。


  「じゃあ、ディズニーランド。
   一度、行きたいと、思ってたんだ」


  「わかった」


  「じゃあ、あさってね」


  「うん」


  「じゃあ、おやすみぃ」


  「じゃあ」


佐紀は、電話を切り、大きく息を吐いた。


  「ふー」


緊張が解けて、また、笑顔が戻って来た。

そして再び、あのフワフワ感に、包まれた。

佐紀は、両こぶしを突き上げ


  「やったぁー」


と、大きな声で言った。



そして、次の日、その次の日と、
友理にとっては、迷惑な話であるが、
ハイ・テンションな佐紀の、練習は続いた。



そして、デートの時が、やって来た。