桃子は、歩美に、


  「アユは、どうするの?」


  「私は、まだ、決めてない。

   まっ、一応、進学しようと、
   思ってんだけど。

   まあ、出来たら、
   バスケの強い所に入って、インカレ、
   行けたらいいなあって」


すると、里香も、


  「インカレ、いいよねぇ。

   でも、頭、悪いし、そんないい大学、
   入れっこないよね」


華子が、顔を上げ、


  「インターハイ、行ったら、
   スポーツ推薦で、入れるかも、
   しれませんわよ」


歩美と里香は、顔を見合わせ、


  「それ、いいっ。
   行こっ、インターハイ、行こっ。
   サキっ、インターハイ、行こっ」


佐紀が、顔を上げ、


  「ん?」


  「サキっ、インターハイ、行こっ」


  「うん、行くよ」


佐紀は、平然と、言った。

皆が“そんなに、簡単なものか”と思うほど
あっさりと、言ってのけた。

梨沙が、あきれたような顔をして、


  「あらま、簡単に」


  「だって、そのために練習してるんだし
   そんなの、やってみなくちゃ、
   わかんないでしょ?」


  「だよねぇ。“諦めたらそこで、
   試合終了ですよ”って、
   安西先生も、言ってるし。

   サキ!、偉いっ」


  「それに、チナとも、約束したし」