練習が始まって、しばらくした時、
野村先生が入って来て、三田に声をかけた。
「よっ、久しぶり」
「あっ、おはようございます。
ご無沙汰、してます」
部員たちも、挨拶をする。
「こんにちはー」
三田は、先生に、お礼を言った。
「ありがとうございます。
無理を聞いてくれて」
「いや、それは、いいんだが、
いいのか? 春合宿は、
基本プレイが、主だぞ」
「ええ、今回は、大学生の、
練習にかける姿勢を、
見せてやりたいと思いまして。
それに、基本は、いくらやっても、
やり過ぎって事は、ありませんから」
走っている高校生を見ていた先生は、
「おい、この子たちは、あの時の…」
「ええ、そうです。
ちょっと訳あって、また、
こいつらを、見る事になりました」
「そうか。あの時、思ったんだが、
みんな、いい子じゃないか」
「ええ、インターハイも、狙えるかと」
「おお、そりゃ、気合、入るな」
「はい、頑張ってみようと、
思ってます」
マネージャーの久美子が、やって来て、
「先生、旅館は、三田さんと、
同じ部屋で」
「おっ、わかった。じゃあ、また、
積もる話を、しようじゃないか」
「はい」

