3月も、終りに近づき、暖かい日差しが、
差していた。
しかし、時折吹く風は、まだ、冷たかった。
三田は、体育館の前に立ち、
その暖かい日差しと、それを冷ましてくれる
冷たい風を、楽しんでいた。
佐紀たちが、走って来た。
少しあとから、佑香たちも、走って来た。
佑香は、体育館の前に着くと、
膝に手を付き、ハアハア言いながら、
「あぁ、負けたぁ」
三田は、微笑みながら、
「君たちは、オフ明けだから、
仕方ないさ。
こいつらは、ずっと走ってるからな」
「でも、負けるのは、悔しいです」
皆が、体育館に入ろうとすると、
遠くに、2人の姿が見えた。
三田が、
「おっ、あそこでも、熾烈な争いを、
してるぞ」
そう言うと、皆が、2人を見た。
友理と、大学生のセンター、美智子だった。
決して、速くはないが、2人とも、
必死で走っていた。
佐紀が、声をかける。
「ユリー、頑張れ―」
すると、歩美たちも、声を出した。
「ユリー、頑張れ―」
それにつられて、佑香たちも、
「ミッチー、頑張れ―」
と、応援し始めた。
華子は、一人、冷めた顔をして、
「熾烈な、ビリ争いですわね」

