桃子は、他の地区から入って来たので、
佐紀たちとは、面識がなかった。

他のみんなは、中学の時から仲が良く、
入り難かったのか、一緒に行動しても、
桃子はいつも、横で、皆を見ていた。

だから皆も、桃子は、そんな性格なんだと、
思っていた。


  「一人が好きなのかと、
   思ってましたわ」


  「嫌いじゃないけど、みんなと、
   ワイワイするのも、好きだよ」


  「猫を、被ってましたの?」


  「まあ、そういうことかな」


里香が、呆れたような声で、


  「2年間も?」


  「うん、まっ」


  「サキが聞いたら、泣くよ。

   遠慮なんかしてると知ったら、
   サキ、仲間を大事にしてんだるから」


  「うん」


佐紀は、自分の名前が聞こえたので、
振り返って、


  「何?」


と訊いた。


  「何でも、ありませんわ」


  「モモのギャグは、寒いなって」


  「あっ、そうだね」


と言って、また、向き直った。

すると桃子が、


  「何で、納得するのよ」