向うから現れたのは、梨沙と友理だった。

友理は、佐紀を見つけると、


  「サキぃ、早いやん。
   ウチらが一番や、思うたんやけど」


梨沙が、佐紀の持っている紙を見て、


  「何? その紙」


  「えっ、いや、なんでもない」


佐紀は、あわてて紙を、
ポケットに、ねじ込み、


  「じゃ、じゃあ、自主練、しよっ」


そう言って、体育館に入って行った。



練習中、佐紀はずっと、
ハイ・テンションだった。

友理は、流れる汗を拭いながら、


  「サキ、えろう、気合入ってんな」


と、つぶやいた。