「行ってらっしゃい」


翼は朝ごはんを食べ終えると、そう言ってリビングのソファーの隅に埋まるようにして顔を隠した


既にスーツを着て、準備は完璧だ


「翼…?」


今日は様子がおかしい…



「どうした…?」



今日は翼を1人にするのが心配だから会社に連れていくつもりだったが、翼は何故かそれを拒否するように顔を隠す



「会社…遅れちゃうよ」





……?



「だけどなぁ…」


「早くしないと……だめ」




もしかして…




「慎、昨日…お仕事できなかったから…早く…」




ああ、きっとそうだ




「遅刻するよ…幸弘くんが怒る…」





嬉しくてため息が出てくるよ





「慎?なんで行かないの…」





翼は昨日のことに責任を感じてるんだ


本当は寂しがりやだから1人になるのは嫌なはず


俺に迷惑をかけてしまうと思ってるんだろう


きっと今俺はだらしない顔をしている