社長室に戻ればソファーの上で寝ている翼と、その前で書類を見ている幸弘がいる 「遅かったな~、翼ちゃんなんか寝ちゃったよ」 腕時計に目をやると、出たときからすでに2時間も経っていた 気がつかなかった、そんなに経っていたとは コツコツ… ソファーに近づくと、小さく丸まった彼女がいる 顔にかかったら髪に触れると、長い睫毛が震える 「ん……」 ゆっくりと開いた綺麗な瞳に俺が写る 「起こしちゃったな、ごめんな」 「ううん……おかえり…」 「ただいま」