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「おばさん、これ直哉のバッグなんだけど渡してくれる?」

自分の家に帰るより先に、あたしはお隣さんの直哉の家に寄った。

「あら、加奈ちゃん。今日は直哉と一緒じゃなかったの?」

洗濯物を取り込んでいた直哉のお母さんは、あたしに気づくとパタパタと寄ってきた。

「何か先生に呼び出しくらったとかで、あたしにこれ預けて行っちゃったんだけど、あんまり遅いからあたしだけ帰ってきちゃった」

「呼び出し!?あの子何か悪さしたのかしら。ふぅ、加奈ちゃんはこんなに優秀なのにねぇ。加奈ちゃん、いつでもウチの子になってくれて構わないんだからね」

「……はい」

うちと直哉のうちは、昔から家族ぐるみで仲がいい。

うちはあたしの上に兄が、下には妹がいるのだが、直哉は一人っ子だったりする。

だからおばさんはよくこんな冗談を言うのだが、実際はどこまで冗談なのか……。