それから、 三ヶ月ほどした頃かのう。 季節は真冬になっていた。 仕事を終えて 家路につこうとしたわしは、 背後から 「賢三さんっ」 と呼び止められた。 その声は 忘れるはずの無い声だった。 咄嗟に振り返ったわしの前に 春江が立っていた。 手には大きなバッグを 2つ持っている。 わしは幻でも見ているのかと 何度も眼を擦ったが、 そこに立っているのは やはり春江だった。 ・