わしはしばらく
その場に立ち尽くしていたが、
春江の姿が見えなくなると
込み上げてきた感情を抑えきれず
雄叫びに近い歓声をあげた。
はじめて自分の絵を観て
評価してもらえたこと
偶然にも女性と知り合えたこと
そして、何より
その女性が春江という美人で、
春江にまた会えるということが
嬉しかった。
小躍りするわしを近所の子供達が
好奇の目で見ていたが、
そんなことは気にもならないほど
わしの気持ちは高揚していた。
そう喜ぶのも無理もない。
それまで出会いすらなかった男が
千載一遇とも言えるチャンスを
手に入れたんじゃからの。

