恭一と留美は付き合いだしてから
この10月で既に3年が経とうとしている。
お互いが将来を見据えた関係だと
暗黙の了解はしている仲だったが
お互いの存在の大事さをいつしか忘れて、
何かしらの物足りなさを
感じているのも拭えなかった。
今日は久々のデートだった。
ここ最近、
恭一の仕事が忙しかったことが原因だが
気がつけば2ヶ月半も
二人で出掛けてはいない。
釣った魚に餌はやらないとでも
言わんばかりの恭一の素っ気無さに
留美は大事なイベントすらも
忘れてやいないかとヤキモキさせられていた。
留美のフラストレーションも溜まるはずで、
翌日は留美の誕生日だった。
明日で留美は29歳を迎える。
女からしてみれば
誰もが感じるであろう節目を
迎えようとしていた。
恭一は留美に気を使ってか、
それとも執拗な催促に屈してか、
彼女の立てたスケジュールに従う
という半ば強制的なデートでもあった。