「何か…あったのか?」 不安気に訊く恭一に、 「昨日、恭一と別れてから、 ある出来事があって… 恭一の故郷に 行きたくなっただけ… 恭一と一緒に この海を見たかっただけ… …ただそれだけよ」 留美は昨日の内容には触れずに、 ただ自分の心境だけを静かに呟いた。 太陽がその役目を終えて 青かった海が金色に輝き始めた。 留美は意を決したように 左胸をポンポンと叩くと、 唐突に恭一に訊いた。 ・