さっきのバス停まで戻ると、
脇に上へ登る階段が続いていた。
見上げると、上に灯台がそびえたっている。
「灯台の上にも上がれるんだ」
と恭一は指をさしながら自慢気に
言った。
恭一の話では手作りの土産物は、
上にある民宿が売店を出していて
そこへはこの階段を登るしか行く
手段はないとのことだった。
上へと続く階段は思いの外急で、
二人は意を決するとゆっくりと
登り始めた。
登っていく途中にベンチが設置し
てあって、
そこから見える海は絶景だった。
【地球がまあるく見えるん台】
とベンチ脇に書いてある。
「可愛らしい名前ね」
と留美が休みがてら立ち止まると
「名前はベタだけど、
景色は確かに最高なんだ」
と恭一も
いつも見ていたであろう景色に
懐かしげに足を止める。
「子供の頃は、
ここからの眺めが好きで、
いつか水平線の向こうに行って
みたいって思ったもんだ」
彼が不意に口にした『水平線』に
留美は敏感に反応しては苦笑いを零した。

