「え!?………
御前崎!?……
御前崎…って…何でまた急に…
俺は里帰りみたいなもんだし…
それに…
全然日帰りじゃないし……」
突然、御前崎と言われて、
奈々子の顔がよぎった恭一は、
うろたえながら言い訳を並べた。
「何?…何か文句あるの?
何でも言うこと
聞くんじゃなかったの?」
と、留美に一喝されて
これ以上無理に反対するのも逆に
怪しまれるだろうと
恭一はやむを得ず了承させられて
しまった。
(何か勘ぐられることしたか?)
恭一は自分の行動を振り返ったが
不穏な行動などしてはいない。
帰りが遅かったにしても、
御前崎との接点などどこにもない。
もう一度留美を見たが、
留美は窓の外に目を向けたままだ。
そうこうしてるうちに
タクシーは留美のマンションの近くまで来ていた。
(まぁ、明日にはわかるだろ…)
と恭一は支払いを済まして
能天気にタクシーを降りる。
二人は留美の家に着くと、
明日に備えて、
すぐに眠りについた。
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