「村上さんが描いてないとすれば 奥様以外に 誰が描いたというんですか? この赤い糸は、 口紅で描いた奥様の返事だった んじゃないんですか?」 留美の言葉に、 賢三の目からポロポロと涙が溢れ出した。 「春江……うぅ……春江…」 賢三は涙を拭うこともせず、 春江の名前を何度も呼んだ… そう… 春江の返事に答えるかのように… ・